第二章 始動期(大正)タンク船の開発に心血注ぐ
この年の12月、市太郎は新居浜市市議会選挙に立候補し当選した。新居浜市は同年10月、新居浜町、金子村、高津村が合併して市制を敷いたばかりであった。信仰心の厚い市太郎は、海運業の忙しい仕事の間を縫って地域社会への貢献にも力を注ぎ、立派にそれを両立させてきた。まず、大正15年に出身地の金子村で消防団長に就いたのをはじめ、昭和5年からは新居郡金子村の村会議員をつとめた。海運業を経営して広く社会に目を向けていた市太郎は、新居浜が発展するためには隣接町村が合併し、市へ昇格するのがもっとも重要なことと考え、村会議員時代に合併促進のために金子村合併委員として活躍してきた。すでに新居浜では知名度もあり、地域のために働く人、面倒見のいい人と評判が高く、制移行に伴って、第1期の新居浜市市議会議員となったのであった。